早いもので新体操のルール改訂時期が近づいてまいりました、2025年!!【2024年まで適用されている現行のルールとどのように異なるのか?】この記事では、分かりやすくまとめたものをシェアできればと思っております。様々な形で新体操に関わる皆様の参考になりましたら幸いです。
演技構成に関わる変更の要点
組み込まれる難度の変更
演技に加えられる難度は6つまでと制限し、【徒手系3つ+転回系3つ】を上限とする。
重複する難度は加点しない部分は、2022年~2024年までのルールと同様。
身体難度と手具難度の表記
2025年~のルールでは、以下の様に呼び方が変わります。
- 身体難度(DB)→ 身体難度(BD)
- 手具難度(DA)→ 手具難度(AD)
新要素の追加
2025年~のルールでは、【投げタンブリング(Throw-Tumbling)】が演技の必須要素とされることになりました。
投げタンブリングとは、リボン、ボール、クラブなどの手具を空中に投げながら同時にタンブリング技(前方回転や側転etc.)を行うという新しい技術要素の組み合わせのことを指します。
投げタンブリングは、新しくEスコアに追加されたE難度で加点評価されます(詳しくは、『実施(Eスコア)について』をご一読ください)。
採点方法の具体的な変更点
難度(Dスコア)について
2025年~のルールブックでは、DスコアはBD難度(Body Difficulty:手具難度)とAD難度(Apparatus Difficulty:手具難度)から構成されています。
2024年までのルールでは、DBよりもDAの点数が低くなる傾向がありましたが、2025年からのルールではBDとADがより平等に評価されるでしょう。
また、2025年からは手具操作の種類や範囲がより広くなり、ADとして回転やリスクに関わらずさまざまな手具操作の難易度が包括的に評価されるようになります(より詳細は『AD(手具難度)について』をご参照ください)。
BD(身体難度)について
徒手系(非手具)3つ+転回系3つ=計6つのの難度を上位の難度から計算した合計とし、2名のD審判で共通する得点を算出します。
これらの6つの要素には、構成の一部として回転を伴うダイナミック要素(R)と全身の波動(W)を組み込むことに特に重点が置かれています。
- 回転を伴うダイナミック要素(R):ジャンプやリープがメインで、手具を操作しながら回転する動作を指します。選手が立った状態で二人分の身長を越える高さで手具を投げ、空中で最低2回の360度回転を行い、その後の動作と組み合わせて受ける技。回転数や高さ、手具との親和性がBDとしてDスコアに加点されます。
- 全身の波動(W):演技中に必ず2つの全身の波動を組み込む必要があります。その完成度や表現力がBDとしてDスコアに加点され、不足するとEスコア(実施)からの減点が伴います。
また、回転系3つに関しては、転回中の操作に対して0.1ボーナス加点されます。
回転中とは、ターンやフリップ、ツイストのことで、その最中に手具を投げたりキャッチしたりすることを指します(下記例参照)。加点は、手具の動きの流れを崩すことなく実行した場合のみ実行されます。
例)
・手具の視野外キャッチ
・回転中に体のさまざまな部分で手具をひっくり返したり転がしたりする
・回転中に手具を脚の下などに通す
AD(手具難度)について
2024年までのDAでは、主に投げ・キャッチ・回転の組み合わせ(リスク)を中心に手具操作が評価されましたが、2025年からのAD難度では回転が伴わなくとも評価に含まれ、手具操作のバリエーションが豊かになり、以前より広く細かく評価されるようになります。
もちろん、今まで通り手具投げやキャッチなどの操作もADとして評価されます。
因みに、演技中に実施されるADの個数は2024年までのルールから変更はありません(ジュニアの場合最高15個、シニアの場合最高20個が採点対象)。
実施 (Eスコア)について
2025年のルールは、Eスコア(E難度加点以外の減点方式)の基本的な評価方法は2024年から大きく変更されていません。
ただし、EスコアにE難度(E Difficulty)という加点評価要素が導入されます。
2024年度までのEスコアは、コントロールや精度、流動性を考慮した上で、実施された技の質(体操選手のパフォーマンスの全体的な質)を評価し、完全に10点満点の減点方式で、エラーや不正確さに基づいてポイントが減点されていくシステムでした。
2025年からはそこにE難度という加点が加わるイメージです。
Eスコアに新たに導入されたE難度(E Difficulty)について
E難度は、ターン、バランス、ジャンプなどの身体要素において、選手が行う動作の技術的な難易度や複雑さを評価します。例えば、より複雑な体の位置や、より高度な回転には、高いE難度の価値点が与えられます。
2025年より追加された必須要素【投げタンブリング】は、このE難度で評価され、Eスコアに加点されます。回転の種類や数、ジャンプの高さを評価するのではなく、空中での体の制御やタンブリングの完成度、キャッチ動作が評価されます。
技のレベルは、最も簡単なAレベルから最も難易度の高いEレベルまでの5つに分類され、それぞれが実施されると0.1~0.7点加点されます。
難度(D) | A | B | C | D | E |
価値点 | 0.1 | 0.2 | 0.3 | 0.5 | 0.7 |
芸術(A Score)について【変更なし】
2025年のルールは、主に採点の基準や細部が明確化された部分があるものの、Eスコア(E難度加点以外の減点方式)とAスコアの基本的な評価方法は2024年から大きく変更されていません。
芸術(A)は、Aスコアと呼ばれ、以下の観点に基づいて不足があると感じられる度に10点満点から減点されていきます。変更はありません(Aスコアの減点ポイントに関して詳しくは、『新体操 芸術点A/実施点Eとは?点数が低い/取れない理由は何!?採点ルールを勉強しよう』をご参照ください)。
- 音楽と動作の調和:選手の動きが、その音楽そのもの、そしてそのリズムやメロディーに合った表現がされているか。
- 表現力:感情の表現や演技の一貫性があるか。演技のメッセージが伝わるものであるか。
- 創造性:動きや構成の独創性は?例え同じルーチンでも新しい要素があるか。
Eスコア(実施)は、主に実行される技の種類や難易度に焦点を当てる D 難度やE難度 とは違うんですって!!
Eスコアの減点対象であるエラーや不正確さというのは、例えばバランスを崩したり、フォームが崩れてしまっていたり、手具を落としてしまったり等のこと。
詳しくは、『新体操 芸術点A/実施点Eとは?点数が低い/取れない理由は何!?採点ルールを勉強しよう』をご一読ください。
2024年までのルールと大きく変わらないので、これまでの演技構成・経験を生かした新ルール適用も可能と言えるでしょう。
減点ルールの変更
- 場外した場合、Eスコアより一律【0.2】の減点となる
- 手具の差し替えによる減点が無くなる
2024年までのルールでは、場外で【0.3】の減点、手具の差し替えで【0.5】の減点でした。減点ポイントが減りましたね!
その他変更点
- 審判構成について計時員が1名に削減され、セクレタリーが新設
まとめ
この記事が、新体操ルール2025年~の変更点に関する概要の理解の一助となれましたら幸いです。
この記事は、全て『2025-2028 CODE OF POINTS』を参照して作成しております。2024年までのルール同様、今も加筆修正が行われていくことと思いますが、変更点に関しては連盟のページで共有されていくはずですので、併せてご確認ください。
今日も練習に励む新体操ガールズに幸あれ!!