新体操というスポーツは、本格的にやろうとすると練習時間も親のサポートも、かかるお金もトップクラス。普通だったら真っ先に辞めたいって思える3点要素。 なのに、一度舞台(大会)を経験してしまうと、不思議なほどの魅力に引き込まれてしまう。長く続ければ続けるほど、選手として頑張ってきた程、『続けない』と決断をするには本当にたくさんの勇気が必要。
この記事では、新体操選手達とそのお父さんお母さんの『新体操をいつまで続けるか!?』という漠然とした悩みが少しでも晴れることを願い、ベストな辞め時やその理由、そして反対に続けるべき選手の特徴、2つの観点から判断基準をご提案します。
『新体操、いつまで続ける?』ー節目がベスト
『新体操、いつまで続けよう、、、』
きっと、中学受験組が塾に通い始める3年生あたりから、公立中学校組は小学校最終学年目前の5年生あたりから悶々と考え始めるのではないでしょうか?
結論から言うと、『新体操は、いつかは辞める』とお考えなのであれば、入学や卒業、『受験のための通塾』など一般的な節目を強くおすすめいたします。
その理由として第一に、『最も自然で辞めやすい』ことが挙げられます。新体操の先生・コーチと選手達は、毎日の様に顔を突き合わせ長い時間を共にしています。その関係性といったら、ある意味家族のようなもの(その愛の深さはクラブにも大きく依存しますが)。これといって節目でもないし変化もないのに突然『辞めます』では、困惑してしまいますし、何より『何故?』そして『なぜこのタイミング?』と全力で傾聴体制に入ること間違いなし。そして、『今じゃなくてもいいよね?』と、ものすごい勢いで止められることは間違いないでしょう。団体のメンバーに選出されていたら尚更です(他のメンバーに迷惑がかかるタイミングは絶対に辞めましょう)。
第二に、入学や卒業、通塾などの節目で辞める選手は多く、指導陣も多かれ少なかれ経験があることが挙げられます。新体操以外における本人の生活がガラッと一変する中、その後も何も問題なく新体操選手として続けられるなんて誰にも保障ができませんし、それは心の奥底で指導者も理解していること。『やってみないと分からない』とか、『〇〇ちゃんはできているよ。』等、新体操を続けるよう何かしら声かけされると思いますが、そこは、毅然と対応していきましょう。
因みに、あくまでも筆者の感覚ですが、通塾しながら本格的に新体操選手を続けるというのは非常に難しいです。何より、本人が一番大変な思いをすると思いますし、どちらも中途半端になる可能性もあることを肝に銘じておく必要があります。本人がつぶれないよう、親のサポートが更に必要不可欠となることも間違いないでしょう。しかし、成績を度外視しても良いというのであれば、問題はないでしょう。
新体操を辞める節目ランキング
1位:小学校卒業時
中学校では、学習内容が格段と難しくなってきます。
特に、小学生時代に本格的に長く新体操選手として活動していた子供達は、小学校で学習した内容を復習する時間を取れず(塾など他の学習系教室に通う時間的余裕がなく)、しっかりと定着していない可能性があります。
※小学校の通知表はあてになりません。通知表に『よくできる』や『A』、『◎』が沢山あっても油断禁物。
中学で学習する内容は、基本的に小学校で学習した内容が全て頭に入っているという前提でスタートします。理想は、小学校で学習した内容の復習時間をしっかりと取った上で中学生活に入ること。できれば、4月には完全に切り替えて中学校生活に臨みたいところですね。中学1年からしっかりと積み上げた子は受験にも強いです。現在は私達親が子どもの頃よりも学ぶ範囲が格段に広く難しくなっていますからね…。
自治体にもよりますが、中学一年生の内申点も受験に直接関係する場合もあります。春休みには、本人だけでなく親も、高校受験に関する情報収集をしっかりと行うのが賢明でしょう。決して早すぎることはありません。
中学生生活×新体操については、『新体操中学生からどうする!?私立中学新体操部とクラブチームの現実まとめ』で詳しく昨今の部活情勢含め説明しています!是非ご一読ください。
2位:高校受験前(中学2年の夏)
『いつかは辞める』と思ってはいるけれど、『もう少し新体操を続けたい!』、そして、『高偏差値の高校を狙いたい』子は、『受験勉強に入るため通塾する』という理由でこのタイミングを狙うのも良いでしょう。
大会のエントリー数を見ても、中3生は受験が近づくにつれて劇的に減少していきます(やはり皆さん受験勉強しますよね…)。入塾者は、一般的に中2の夏休みが圧倒的に多数。『新体操で高校に行く!』というのであれば話は別ですが、高校受験戦争に遅れを取らないように気をつけましょう。
中3の夏休みという選択肢は、よっぽど優秀でないかぎりおすすめできません。例え優秀でも、『もっと早く受験勉強していればあの高校に行けたかも…』なんて後悔する可能性だってあるんです。
『新体操を早く辞めた後悔』と『受験勉強が足りなかった後悔』、大人になってから自分(または我が子)にとってどちらが重いか?、または、どちらの選択が”良かった”と思えるか?・・・天秤にかけるしかありません。
3位:小学5年生
難関中学を受験をする場合、遅くとも小学5年生が終わるまでには本格的に塾に通っておきたいですよね。『中学受験をする』ということを節目として、お話すると良いでしょう。
中学生になっても新体操をやりたいという意志のある選手は、新体操部のある中学校を選択するのもおすすめです(私立中学がほとんど)。受験勉強の間は、身体を保つという意味で回数や時間を落とし、細々と新体操を続けるという手もありますよね^^
公立中学校の新体操部はかなりレアです(詳細は、『新体操中学生からどうする!?私立中学新体操部とクラブチームの現実まとめ』をご一読ください)。『中学生になっても新体操を続けたい!』という場合は、よーくリサーチする必要があります。
【番外編】中学1年生/高校一年生
早生まれの選手の場合、大会によっては同学年の選手よりも1年遅くデビューすることも多く、通常の節目だと【やり切った感】が足りない可能性もなきにしもあらず。
中学受験をしない小学生選手、中高一貫校に通学中で高校受験がない中学生選手は同期よりも後一年やりにくことで、より納得のいく成果と達成感を得られるかもしれません。
中学生の一年間というのは、身体が出来上がっているので小学生の時よりも圧倒的に早く成長していきます。中学生の演技は、スピード感や表現力がすばらしく、親目線で言えば、その一年の成長が見られるのと見られないのとでは、新体操としての完成度にかなりの差があると感じます。
普段は大会で一つ上の区分で出場する同期と同様に指導されるもチャンスは遅くにやってくる。「あと一年!」とふんばったことが、思いのほかさらに継続に繋がった選手もきっと多く存在することでしょう。
そういった意味では、新体操において早生まれはポテンシャルが大きいのでは?
新体操における早生まれに関しては、『新体操に早生まれは不利!?損得徹底検証!ー1月2月3月生まれ必見』をご参照ください。
新体操を続けるべき選手の特徴
ここまで『辞める』ことを前提にお話ししてきましたが、ここで『あなたは続けた方が絶対良い!』というパターンについてまとめていきたいと思います。
逆に言えば、このリストに全くと言っていいほど当てはまらない場合は、無理をしてずるずると選手として続けることにメリットはないかもしれません…。
新しいことを沢山チャレンジし、新体操で学んだことを活かし、むしろどんどん見聞を広げてあなたに眠る新しい可能性を探りに行きませんか?
規模の大きい大会での成績がすこぶる良い+α
大きな大会で良い成績を取れるということは、所属クラブの先生やコーチの贔屓目でも何でもなく、誰が見てもその実力があるということです。更に上を目指してほしいですね!ポテンシャルがある場合はなおのこと!
新体操に向いている
新体操には、実力や努力ではどうしようもない向き不向きがあるんです。上の上を目指すのであれば、『自分は新体操に向いているのか?』という現実は直視する必要があります。
新体操に携わる仕事に就きたいと思っている
先生・コーチなど競技者ではなく指導者になりたいという場合も、ある程度の競技経験は必須。実績を伴っていた方が指導者としての箔も付きます。
オリンピック選手という夢がある場合はもちろん、新体操に携わる仕事に就きたいと思う時点で、新体操を相当愛しているという事実を認めることが必要です。
本当に辞めても良いのですか?今辛くても、続けた先に得られるものは沢山あります。何が原因で『辞めたい』という気持ちになってしまっているのか?『本当は』どうしたいのか?しっかりと自分自身と対話しましょう。
自分を新体操と切り離すことによっておこる弊害の方を案じた方が良いかもしれません。
実力のある指導者に習っている
新体操には、本人の実力や努力ではどうしようもない部分で採点される要素もあります。上を目指して続けていくのであれば、しっかりとした実力、そして点数の取れる演技を構成する能力のある指導者についてもらう必要があります。
もしも、これがネックで新体操を続けるか迷っている場合、移籍も視野に入れてみてください。そして、その際は少し冷静になって、試すべき項目が5つあります。詳しくは、以下の記事をご一読ください。
まだ幼い(小学校低学年以下)
まだ小学校低学年以下の場合、これから急激に伸びる可能性がまだまだあるので非常にもったいないです。
もしも、今伸び悩んでいることで辞めようか悩んでいるのであれば、そして、新体操がとても好きなのであれば、もう少し頑張ってみるのもありかもしれません!!
新体操の向き不向きに関する記事と併せて、伸び時と新体操ゴールデンエイジにすべき事に関する記事も是非ご一読ください!
新体操がとにかく好きでオタクの域である
心底好きなものをあなたからもし奪われたら…その理由が何であれ、その精神的苦痛はすさまじいものになるでしょう。
新体操を辞めると伝える前に準備しておくこと3選
実は一番トラブルになりやすいのが辞めるタイミングや辞め方だったりします。
『終わりよければすべてよし!』となるよう、最後まで丁寧かつ誠実に『相談』という形で、お世話になった先生・コーチとゆっくり話し合いを重ねていきましょう。
また、クラブを辞めた後に他のクラブに移る場合は、理由を添えて必ず伝えましょう。
1. 迷っていることを早めに伝える
例)『学業との両立が心配で、小学校卒業後も新体操を続けるか迷っています。』
半年くらい前までに先生やコーチに伝えておきましょう。この時点では正直本人含め親も迷っている段階だと思います。そのことを率直にかつ誠実に、日頃の感謝も交えつつ丁寧に伝えておきましょう。
2. 新体操をやめた後の生活をシミュレーションしておく
新体操を選手として続けてきた子供達は、本当にすべてをささげるくらいの時間数を練習に費やしてきたと思います。それがなくなった時にどうするか?
『100』が『0』になった時というのは、抜け殻になる可能性も考えられます。辞めた後にしっかり備えておきましょう。
3. 団体演技への参加は遠慮する
団体演技を組む場合、非常に長い期間、同じ演技を同じメンバーで沢山練習し、様々な大会に出場することになります。
他のメンバーに迷惑をかけないよう、とにかく角の立たない理由でお断りしておきましょう。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
新体操を頑張ってきた子供達が、新体操で得た経験を糧に、今後様々な形で活躍できますように。新体操に励んできた時間が宝物となっていつまでも心の中で輝けるよう、有終の美を飾れますように。
心ある言葉も心無い言葉も、選手に投げかけることはいつでもできます。でも、最後に決断をするのは選手本人。そして、選手自身が下した決断に決して間違いはありません。
指導者の方々も、ご両親も、是非あたたかく見守ってください。
今も昔もこれからも、筆者は新体操選手達の笑顔を心より祈っています。