習い事に新体操を選ぼうか悩んでいる方必見!華やかかつ体操のかっこよさも兼ね備える新体操はまさに憧れの的。しかし、その華麗な演技は、様々なリスクを潰し、本人そしてそのご家族が新体操競技のために努力を重ねた結果なのです。この記事では、我が家が経験し、かつ初めから知りたかったと感じた新体操のリスクを詳細にご紹介します。
ちなみに!
決して皆さんを怖がらせたい・新体操は辞めた方がいいよと言いたいわけではありません。【新体操はこういうものだと知った上で選択をすることが賢い】のでは?というご提案です。
知っていれば、そもそも新体操ではなくダンスにしよう、はたまた体操にしようか?
あるいは、この新体操クラブではなく別の新体操クラブにしよう!
…等と、私の知らない誰かのお子様の【これから】に対してより良い選択ができるのではないかと考えたからです。
金銭的リスク
新体操に対する間口はとても広く設けられていると感じます。
他の習い事と大して料金は変わらず、【週1回のレッスンで5000円~8000円】の価格帯が多い印象です。この料金で娘があの素敵なリボンを操る姿を連想&娘もやりたいとなったらもうすぐに課金したくなります。
私はそんな保護者の一人だったのですが、実際に入ってみたら小物類にとてもお金のかかることにまず衝撃を受けました。
- 練習用シューズ
- クラブTシャツ
- 手具(リボン、フープ、クラブ、ロープ、ボール)
- 手具の収納ケース×5
- ストレッチ等トレーニング小物類
そして更に、年に一回は発表会をするところがほとんどだと思うのですが…発表会には、発表会会費だけでなく以下の料金がかかります(中にはすべて含めて一律料金のクラブも)。
- 衣装(×出演演目数)
- 発表会前特別レッスン料金
- 先生・コーチへの謝礼
- 発表会DVD
衣装に関しては、レオタードを要求されてしまうと一着7000円以上は見積もっておく必要があるでしょう(装飾が必要でしたら、更に装飾用のストーンやレース代金+手間もしくは委託代金も)。
発表会前には特別レッスンが入ってくる点にも注意が必要です。ある日突然『2か月後か発表会なので、来週から週二回のレッスンになりますので来れる人は来てください!』なんて言われたら大変。『来れる人は~』なんて言われても、レッスンに行ってない子が置いて行かれることは一目瞭然なんですから…。
習い事をかけもちしている子は、【続けるのは新体操か他か?】早々に選択を迫られることになってしまいかねません。
更に、あれよあれよと選手コースに行ってしまったなんて場合は、お月謝は3~4倍に膨れ上がる上、大会費用や遠征費、消耗品代もかさんだ結果年間100万円かかった年もあります(決して大袈裟ではなく事実です)。
新体操スクールは、指導者が個人事業主として切り盛りしているところがほとんどです。説明やサービスが隅々まで行き届かず、全てにおいて事前説明が不十分である可能性もなきにしもあらず。子供がやる気である手前意見できなくなってしまう状況に陥ることだけは避けられるよう、事前にしっかりと確認しておきましょう。
※ 具体的な内訳に関しては、『【お金かかるよ新体操】選手の年間費用はウン十万円!?ー週1回から選手クラスまで費用詳細大公開!』をご参照ください。
学業的リスク
週1、2回趣味で習い続けるのであれば全く心配する必要はないことを申し上げておきます。
ただ、育成クラス以上のクラスに所属されている場合は注意が必要です。
育成クラスですと、年に何度かは大会に出場できる機会があるかと思います。大会出場は、『○選手みたいにもっとうまくなりたい!』と強くモチベーションが上がる機会。そんな時に『娘ちゃん、選手クラスに行ってみない?』なんて大好きなコーチに誘われてしまったらどうでしょう。
すべてを新体操に捧げる日々が始まります…。
選手クラスに勧誘されたら、必ず『新体操キッズ親必見!子供が選手クラスに勧誘されたらすべき必須確認事項9選』をご一読くださることをお勧めいたします。
また、新体操選手クラス親の負担に関して詳細は『新体操選手クラス・大会クラス親の負担6選と心構えー実体験ベースでまとめました!』をご参照ください。
新体操と学業ー両立するのは至難の業!?
新体操の選手クラスは、他の競技に比べて圧倒的に練習の拘束時間が長いです。筆者はまずそこにびっくりしました。週末は両日一日練習なんてことも。その上、平日も夜遅くまで平均2~3時間の練習。
筆者は、実際に娘が選手を経験してみて、選手を続けながら並行して受験勉強等は到底無理であるという結論に至りました(中受、高受共に)。
並行して頑張ることは、どのスポーツの選手クラスでも難しいと言えるかもしれません。
しかし、新体操は天候関係なく練習拘束時間が群を抜いて長い上に、大会の時には早朝メイクから始まり自宅に着くのなんて夜遅くはザラ…。自分の競技が終わったら帰っていいなんてルールもなく、閉会式までいなくてはなりません。遠征も多数。
屋内なので日光に当たる必要がないのは嬉しいですが、夜まで練習できてしまうのも生活リズムを整えるのがなかなか大変である理由の一つであるような気もします。
受験期以外の中学生生活すらも、新体操選手をしながらだとかなり大変なのでは?と思ってしまいました。中学生は勉学にもしっかり勤しまなくてはならないですからね(中学校生活×新体操について詳細は、『新体操中学生からどうする!?私立中学新体操部とクラブチームの現実まとめ』をご参照ください)💦
だから・・・その厳しい時期を乗り越え現在輝いている選手の皆さんには尊敬の念しかありません!
引き続き、頑張っていただきたいです!!
遊べない・自分の時間がなくなるリスク
週一の習い事で皆が素敵という様な演技ができるようになるには、相当な時間がかかるでしょう。
それをできる限り短縮するには、自宅での柔軟ストレッチ、手具操作トレーニングは必要不可欠。自主練を継続できる子はどんどん抜きんでて上手になります。
そして、そうでない子との差はどんどん【美しさ・素敵さ】の観点で広がっていきます。新体操が好き!努力して上手になりたい!という気持ちと行動がないと、発表会の時に残酷な事実を目の当たりにすることになります・・・。
客観的に見て美しさに欠けてしまうというのは、女子にとって結構残酷。
他にも習い事をしている子は注意
・・・ということで、特に他にも習い事をしている子は、新体操に割ける時間がはじめから限られているので注意が必要です。
他の習い事と本当に掛け持ちできるのか、しっかり確認することをおすすめします。
特に塾等に通っているようなお子様は、新体操が好きで好きでたまらないというお子様でない限り、「自分の時間がなくなる」「全然遊べない」「毎日のストレッチ・トレーニングが大変」と感じてしまうかもしれません。
選手クラスに至っては言うまでもありません。
柔軟恐怖症リスク
こちらはお通いの新体操クラブによって方針が異なりますが、中には指導者に身体をとんでもなく強く押され、激しく泣いてしまうようなケースも…あります。
あまり幼い頃にこれをやられてしまうと、楽しむ前に『痛い』が来てしまい新体操自体が嫌になってしまう可能性も…。
通う前に柔軟性はどのようにして向上させているのか確認すると良いでしょう。
また、新体操の体づくりについては、クラブに通うだけではどうしても足りないのが現実です。指導者に確認を取ると同時に、自らも学んでおくととても役に立ちますよ(上手な子の秘密は『【新体操】上手い子・上達の早い子は何してる?自主練は?上達しない子のすべき事9選』をご参照ください)。
容姿コンプレックスリスク
新体操という競技は、ピッチピチのレオタードを着用するためスタイルがもろに出てしまいます。
新体操界には、頭が本当~に小さくて、手足の長~い選手が沢山います。そんな子達と並んだ時に、過度にコンプレックスを感じてしまう子もいるかもしれません。
それを感じて改善するよう努力に向かうか、内向的になってしまうかはその子もしくは親の対応次第。
もともと新体操に向きの体形の方はどんどん生かせますが、全くそうでない場合は、大会に出場することになった際には厳しい現実を突き付けられることもあるでしょう。
選手コースに誘われた際には、新体操選手として活躍できるポテンシャルの有無の有無も含め検討すると良いかもしれません。
食生活・健康に関するリスク
容姿コンプレックスや指導者の行き過ぎた注意が理由で、摂食障害に陥ってしまった子も少なくないと聞きます。週1の習い事で体重管理までするケースは皆無だとは思いますが、誰が指摘するわけでもなく自分で気づき、それを気にし始めたら止まらなくなる気持ちも分かりますよね。
新体操の理想の体形と程遠い場合は、ご家庭での食生活・健康管理、そしてお子様の精神的サポートにかなり気を遣うことになるでしょう。
無理なダイエットは必ず避け、摂取するものに注意する必要があります。
新体操の練習環境不足リスク
新体操の理想練習環境は少ない
週1、2回の習い事で新体操をやるのであれば、オリンピック選手の様に手具を高く投げて回転してキャッチするリスクまでは行わないので、練習会場の天井の高さは気にしなくてもOK。
しかしある程度のスペースが必要なので、自宅での手具練習は障害物が少ない状態にしておかないと厳しいです。クラブは重いし硬いので、落下時に床を傷つけることもあります。ステップも含め練習したいとなると体育館を予約するのもまた激戦。では外練はというと、、、手具が傷ついてしまうのでNG。
なかなか難しいのが現状です。
更に、大会に出場するのであれば手具を高く投げる必要があるため、天井の高い体育館を選ばなくてはなりません。そのような体育館も少ないので、通うのが非常に大変な場合がほとんどです。場所もコロコロとかわり、保護者も送迎に四苦八苦。
体育館には新体操マットがありません。本番環境に近い環境をつくるため、本番用マットの個人用小サイズを取り入れようにも、6万円以上します。
極めつけには、中学生になると部活として存在している学校は、私立でもない限りほとんどない状況。あったとしても、個人演技をしたいがために新体操クラブへの所属はを続している子が多いのだそうです(学校の部活では基本団体競技のみ)。
部活は地域移行でゆるくなる動きのある昨今ですが、それでも勉強が非常に忙しい中学生。新体操をしながら良い成績を望んでいる場合、かなり多忙な中学校生活となることは覚悟しなくてはならないでしょう(中学校生活×新体操に関しては、『新体操中学生からどうする!?私立中学新体操部とクラブチームの現実まとめ』をご参照ください)。
あまり上達しないリスク
『遊べない・自分の時間がなくなるリスク』でも触れましたが、週一回ただ通っているだけで形になるのはなかなか難しいのが新体操です(新体操の理想と現実のギャップに関しては、『習い事に新体操を検討中の親必見!理想と現実のギャップとは?勘違いあるある4選』をご参照ください)。
新体操は、美しく踊りながら(しかもアクロバットをしながら)手具を操らなくてはならないからです。しかも、手具の操作も大道芸人並みにすごいという…。自主練が必要不可欠であるのは言うまでもありません。
『新体操を長くやっているけど、なかなかうまくならない』とお悩みの方は、週1で自主練していなければそれはもはや指導者の責任ではなく、【しょうがない(週1の限界)】であると言えるでしょう。
それなら、手具なしで美しく踊る事だけを習った方がすぐに上達が実感できるようになります。そのためか、まだ小さいうちは敢えて手具ではなく徒手(ダンス)をさせるクラブも多い様です。
↓仲間で目立つ上手な子いませんか?↓
良く分からない芸術評価に苦しむリスク
年一回の発表会に参加するのみであればぶち当たることのない壁です。
しかし、何かしらの大会に出場し、演技に点数を付けられるようになると【芸術(A)】という10点満点の評価項目がとても気になるようになるんですよね。
『なぜこんなに芸術(A)が低いの?』
『芸術性に優れているって一体何よ?』
『それって客観的に採点できるの?』
『芸術性の評価って主観にならない?』
様々な疑問が脳内を飛び交います。
○○先生の教え子ってだけで『それは芸術的欠点ではないでしょう~』と、減点が少なくなりそうな気さえしてきます。ないと信じたいですが、人間ですから…。
芸術の評価に中立性・公平性を保つのって、本当に難しいと思います。正直、グレーなところを感じてしまう部分。
もんもんとしなかったことはないです。
こういうのをいつも経験していると、タイムで決まる陸上競技を観た時の気持ち良さ・潔さといったらありませんよね。
※芸術(A)の採点に関して詳しくは、『【新体操点数分析 Aとは?(芸術) Eとは?(実施)】点数が低い・点数が取れない理由・原因は一体何!?採点の仕方を学ぼう』をご参照ください。
まとめ
新体操を続ける上で考えられるリスク、伝わりましたでしょうか?
リスクを予め想定に入れておけば、準備ができるというものです。
『分かったよ!分かったけど新体操をやりたいんだ!やらせてあげたいんだ!』という方々が沢山現れますように。
そして、克服して行けるよう、適宜周りのサポートが得られますように。
日本の環境がもう少し整いますように。
今日も頑張る新体操キッズに幸あれ!