うちの子って新体操に向いてる子なの?向いてない子なの?選ばれるあの子ってどうしてなの?
新体操には、実は努力ではどうしようもない向き不向きがあり、残酷なことに、ある程度のレベルまで行くと、そこでふるいにかけられてしまう性質のあるスポーツです。
この記事では、これから始める方も現在習っている方も絶対に知っておいた方が良いのに、多くの新体操関係者がはっきりとは伝えにくいチェックポイントを、ご紹介したいと思います。
※ 長年ある新体操クラブに所属し、新体操という競技と共に生活をしてきた保護者が指導関係者から学び、体験したことがベースとなっています。
【早めに知るが吉】新体操の向き不向き
新体操の向き不向きや新体操というスポーツの性質は、出来る限り早めに知っておいた方が良いと考えています。というのは、この競技で努力を重ねていくと、ある時点で必ずこのまま続けるべきか否か考えてしまうような大きな壁が突如目の前に立ちはだかり、その壁は、努力やクラブ選びでうまく避けたり乗り越えられたりするものもあれば、努力では完全にどうしようもないものもあるからです…。
早めに向き不向きを理解しておくことによって、もっとポジティブな自分流の新体操との向き合い方ができるのではないかと筆者は考えております。
努力ではどうしようもない要素
「努力ではどうしようもない要素」とは、生まれつきの身体のつくりが由来のプロポーションと柔軟性です。
まず、選りすぐりの選手として活躍するためには、このモデルのような「見た目」と「柔軟性」をクリアしなければなりません。
ジュニアオリンピック選手の候補生は、ほぼほぼ柔軟性とプロポーション、若干の運動能力テストのみで引き抜かれます。
手足が長い
皆レオタード姿の状態で、胴の長さや手足の長さがしっかりと計測されるんですよ・・・。
頭が小さい
頭が大きければ、残念ながら手足が長くともスタイル良く見えません。また逆も然り。
身長が高い or 高くなるポテンシャルがある
これはどのスポーツにも共通することですが、親の体形や身長も見られています。
新体操では、高身長で頭が小さく、手足の長いモデル体型の子が圧倒的に有利(具体的には、『【高身長が有利!?】新体操選手の理想の身長・スタイルとは?身長だけにとどまらない新体操選手の素質とは?ー選手選考基準を知ろう!』をご参照ください)。
本場ロシアの方から伺いましたが、ロシアの指導者は祖父母の体形まで確認するらしいです。
柔軟性がある
柔軟性は、柔軟を頑張ればいくらでも柔らかくなるのでは?と思われるかもしれませんが、そうとは言い切れません。
ある一定のレベルまでは努力でなんとかなりますが、それ以上となると「関節の柔らかさ」や「身体のつくり」がある程度その子の限界を作りあげるからです。
ただ、2022年~の現行ルールでは、180度を基準としており、柔らかければ柔らかい程無限に加点されるという訳ではないので、幸い誰もが気持ち悪いくらい柔らかい必要はありません。
しかし、疑いようもなく180度以上開いていることが、DBの審判(難度の加点をカウントする審判)を迷わせないという大きなアドバンテージとなります(新体操のルールについて詳細は、『【新体操ルールの大枠が分かる】点数の付け方・採点方法の謎を解き明かす!ールールブックの解釈 分かりやすく解説』をご参照ください)。
また、身体が余裕をもって柔らかいと、筋肉や体幹を鍛えることで効率よく高得点の難度(DB)を身に着けることができます。
指導者の力と本人の努力でなんとかなるかもしれない要素
「努力ではどうしようもない要素」を全て楽々クリアされている方で、新体操ライフがこれからという方は、是非無名のクラブや得体の知れない指導者を選ばずに、経験値の高い名の知れた指導者または大手の有名クラブ(優秀な指導者や練習環境が整っている)に所属することをおすすめいたします。
なぜなら、力のない指導者には新体操界における人脈がなかったり、適切な練習環境を用意できなかったり、あるいは点数の取れる演技を作る技量がなかったり(ここでは本人の能力や努力による原因は省いた意)…新体操を極めるには致命的なリスクを伴うからです。
ご自分のお子様には「ポテンシャルがある!」と自負される方(新体操選手としてのポテンシャルに関しては、『【新体操】伸びる子・伸びやすい子ってどんな子?共通して見られる新体操女子の特徴10選 – 学びのシェア。』をご参照ください)、あるいは、「もしも目覚めた場合に備えたい」方は、是非初めから『本物のクラブ』を選びましょう(今在籍しているクラブが本物であるかどうか、移籍前にチェックしたい方は『【新体操クラブ移籍】教室をかえる前に試しておくこと5選ー本気で検討するタイミングと判断基準とは?ー』をご参照ください)。
細い身体
動きが「重そう」、「着地が重い」なだけで都度減点を強いられてしまいます。また、180度開いているのに肉付きが良いために開いてないように見えてE(実施)で減点されることも・・・(実施点における減点について詳細は、『新体操E(実施)減点対象13選一覧:トレーニング以外で減点を減らす方法もご紹介』をご参照ください)。
新体操は、細身の体型の維持が必要不可欠となります。中高生の場合、ホルモンバランスの関係で特にどうしても肉付きが良くなってしまうため、体系維持のために食事制限やトレーニングが欠かせません。
また、親が太っていると子供も同じく太りやすい可能性があります。太りやすい子が新体操競技を続けていく先には、そうでないこ子よりも更に厳しい食事制限と戦っていく未来が容易に想像できます。
厳しい食事制限は、摂食障害を引き起こすことも少なくありません。太りやすい体質だと、肉体的にも精神的にもなかなかシビアな競技生活となってしまうでしょう。
心のケアをしっかりと施しつつ、努力を重ねて行くしかありません。
体幹が優れている
器用に手具が扱えても、演技中に身体がぐらついただけで減点もしくはせっかく入れてもらえた難度(DB)による加点がノーカウントにされてしまいます。
体幹をしっかり鍛えていかなければなりません。都度どのような体幹トレが必要か適切なアドバイスをもらえる環境が理想です。
\自宅における体づくりの基礎はコチラをご参照ください!/
運動神経・頭が良い
運動神経はある程度は鍛えることが可能な様ですが、運動神経が劣っていると様々な技を習得することに人一倍時間がかかるため、より根性が必要とされるでしょう。ここでの運動神経は、『身体を器用にコントロールできる』という意です。
また、新体操では大会前や本番直前に振り付けを突然変更されることなど日常茶飯事。コーチの言っていることがうまく伝わらなかったり振り付けの覚えが悪かったりすると、本番でミスを引き起こしたり、なかなかうまくいかないことが多くなってしまうかもしれません。
表現力がある
自分のなかにある殻?恥じらい?ー
そのようなものは全て取っ払ってその音楽に沿った「演技」をするのが新体操。
手具の扱い方や難度だけを磨いても、本当に素晴らしい選手にはなれません。
しかし、生まれ持った表現力だけで新体操をやりぬいている有名選手は皆無でしょう。振り付けでの脚色要素も絡んでくるため、指導者の『力量』と本人の『魅せ方』、そしてその指導が大きく関わってくるところです。「演技」の指導もしっかりできる指導者を選ぶことはとても重要な要素だと言えます。
2022年から適用されたルールでは、『芸術(A)』が10点満点の減点法で評価されます(2025年以降も変更なし)。演技構成と表現力、そしてその芸術性がダイレクトに点数に関わってきます(新体操の芸術点について詳しくお知りになりたい方は『新体操 芸術点A/実施点Eとは?点数が低い/取れない理由は何!?採点ルールを勉強しよう』をご参照ください)。
新体操が大好き!
なんだかんだと述べてきましたが、これが一番大切な要素かもしれません。
この「新体操大好き」とは、オタクの域だと申し分ないです!
暇さえあれば新体操のことを考えてたり練習したりしていますか?
そのくらい大好きですか?
ルールについてはもちろん、憧れの選手の演技をYouTube等で自然と研究して、技を覚えてしまったり表現を盗めるような子は、かなり新体操をやり込む素地があると言えるでしょう(新体操のルールについて大枠を知りたい方・確認したい方は『【新体操ルールの大枠が分かる】点数の付け方・採点方法・ルールブックの解釈を分かりやすく解説』をご一読ください)。
なんでも本気でやりこむとお金がかかりますが、新体操は特にお金がかかるスポーツの一つだと言えます(新体操を巡る金銭事情は『【お金かかるよ新体操】選手の年間費用はウン十万円!?ー週1回から選手クラスまで費用詳細大公開!』で事細かに公開しております。)。本人にそれほど執着がない場合は、もったいない等の理由でずるずる続けるのは金銭的にも精神的にも肉体的にも非常に大変だと思われます。
やっぱり指導者は大事
既に新体操を始められている場合も、これからお子様がやる気を出した場合を想定して、優れた環境がこの先用意されているかどうか確認しておいた方が良いでしょう。
長年新体操を続けて実感しましたが、指導者の力は大きいです。
指導者の力が足りないばかりに、選手がいくら努力をしても上に行けないなんてことがあっては悲しすぎます。残念なことに、新体操ではこのような事象が起こりやすいんですよね….。
良いクラブ/指導者/コーチかどうかを判断するチェックポイントは、以下の記事をご参照ください!
まとめ
最後まで目を通していただき、ありがとうございます。
生まれつきの身体によって100%ポテンシャルが限られるなんて、新体操って残酷なスポーツですよね・・・。しかも、その内容は「見た目」や「美しさ」がほとんど・・・(幸い、美人である必要性までは要求されていませんが!)。
しかし!だからこそ、それをクリアし更に技術を身に着けて素晴らしい演技を魅せられるようになった時、その達成感や華々しさといったらピカ一であるスポーツではないでしょうか?
とはいえ、必ずしもアスリートの頂点を目指すことがすべてではありません。
指導者を目指したり、あるいは趣味として踊ることを楽しむのもまた素晴らしいことです。また、指先や爪先に至るまで全身に神経を張り巡らせ美しく感情を乗せて魅せるスポーツなので、脳や精神を鍛え抜くことに大きく貢献するという考え方もありますよね。
新体操というスポーツの特性を理解して、それぞれに合った向き合い方ができますように。素敵な指導者のもと、自分だけの演技を作りあげていってほしいと切に願っております。
今日も練習に励む新体操キッズに幸あれ!
※もしも!現在お子様が小学校低学年以下で「これから伸ばしたい!」と望んでいる方は以下の記事(『【新体操】伸びる時期はいつ?新体操ゴールデンエイジ期に爆伸びするためにプレゴールデンエイジ期にすべきこと』)をご参照ください。やり方次第でこれから爆伸びする可能性大です🎵
↓↓↓ お子様が低学年以下で「これから爆伸びしたい!」という方はコチラをどうぞ↓↓↓